真備町服部地区町づくり推進協議会よりご依頼を受け、キックバックカフェは豪雨被害のあった真備町に赴いた。
出張 カフェである。
現地で毎日ボランティア活動を展開する一般社団法人TSUNAGARIを通じて、お話をいただいた。
会場は被災した個人宅であり板金工場の跡地。
瓦礫は随分減ったが、家内はまだ泥だらけだ。
外には広いガレージのようなスペースがあり、支援物資なども置いてある。
そこでは定期的に炊き出しなどを行っていて、地域住民が集まる機会を設けている。
朝、我々が到着すると、皆が歓迎してくれた。
ガスや電気も、現地の方々が手配してくれた。
仕込みは近所の公民館のキッチンを提供してくれた。
温かい人ばかりだ。
お昼ころになると、およそ100名を超える人々が続々と集まり、賑やかになった。
手挽きのスパイスで作ったポークカレー、淹れたてのコーヒーなどの温かいドリンクに手作りのクッキーを用意した。
どれも驚くほど喜んでいただいた。
普段インスタントばかりで、手作りの味が染みたそうだ。
持ってきた甲斐があった。
賑やかな会場からちょっと離れた場所で、一人寂しくカレーを食べている方がいた。
見かけたスタッフが隣に座った。
その途端、堰を切ったように泣き出した。
豪雨があってから泣いたのは初めてだと言う。
緊迫した状況の中で、これまで泣くことも忘れていたのだろう。
別の女性もまた、涙ながらに心の内側を話してくれた。
東京からきた我々だからこそ話してくれたのだと思う。
地元の人には話せないこともある。
我々が何かを語ったわけではない。
我々が何かを語ったわけではない。
ただ、寄り添っただけだ。
少しでも肩の荷が下り、リラックスしてもらいたかった。
復興はまだまだこれから。
それでも現実を受け入れ、希望を捨てず、多くの人が集い助け合う姿がそこにあった。
災害自体は決して喜ばしいものではないが、その中で、人間本来の在り方を教えられたようだった。
一本の電話がかかってきた。
出張カフェに来てくれたご婦人からだった。
コーヒーが美味しくて、嬉しさのあまり電話をかけてきてくれたのだ。
それを伝えようと、わざわざ電話番号を調べて。
その想いが嬉しかった。
普段、我々は熱意をもって誰かに想いを伝えているだろうか。
そういうことを考えさせられた。
挽いた豆を現地に送ることにした。
我々は炊き出しに行くのでも、コーヒーを淹れに行くのでもない。
人に会いに行くのだ、と。