2012年1月21日(土)陸前高田市広田町の水産高校仮設住宅にて。
今回のモバイル・キックバックカフェは初の店舗型カフェの試みです。
これまではキッチンカーで現地入りし、車のカウンター越しにスイーツやコーヒーを提供してきましたが、
今回は集会所を借りて、簡易カフェを設置。
『皆さんにゆっくりしてもらいたい』それが今回のテーマです。
東京・調布のキックバックカフェで提供している和スタイルのデザートを中心に500個のスウィーツと、
毎回提供していただいているKey Coffee様の『がんばろう日本ブレンド」と、
静岡・浜松の茶っぱ屋様提供の静岡茶を用意しました。
また、隣の小学校の仮設には、子供達におなじみの忍者も出張。忍者学校を開校して、一緒に遊ぶ企画も。
出発の夜は東京はすごい冷え込みで雪もちらほら。
きっと現地に付く頃には道路も凍結しているのでは、という心配もありましたが、
陸前高田市の皆さんの笑顔を見たい一新で出発。
途中の雪と凍結を注意しながら、予定より少し遅れて到着すると、
自治会長の菅野さんや仲良くなった広田町の人達がすでに待っていてくださり、
私達を笑顔で出迎えてくれ、一緒に会場作りを手伝ってくれました。
なんと、集会所に沢山の人が出入りできるように、プレハブの玄関からブルーシートで廊下が延長され、
その上を覆うブルーシートの屋根が貼られていました。
(こんな感じに↓)
強力助っ人の力を借りて急ピッチで開店準備。
拡声器でオープンの時間を遅らせる告知はしたものの、気付けば沢山の方々が並んで待ってくださり、
あっという間にスイーツがなくなってしまいました。
開店から1~2時間でラッシュは終わり、その後はゆったりとしたカフェタイム。
「ここは喫茶店だからいいんだよね?」とコーヒー片手に編み物をされる方や、
私たちが行くたびに来てくれる中学生4人組もカフェでくつろぎタイム。
1歳半の女の子をおんぶしながらコーヒーを楽しんでいたおばあちゃん。
おばあちゃんは、去年の8月15日の天国民のコンサートにも来てくれ、
「広田の仮設のみんな、ファンなんだよ、本当によがっだよ~」と天国民のことを絶賛してくれました。
あるテーブルでは、おばあちゃん4人組がゆっくりとお茶とデザートを楽しんでくれました。
ラッシュが過ぎたので、スタッフもテーブルに同席。
おばあちゃん達は78歳~88歳のとてもお元気そうな方々でした。
その中の一人のおばあちゃんが色々と話してくれました。
「こうやって、仮設から出る機会をくれるのが、本当にありがたいですよ~。
特に寒くなってからは、みんな家にこもってしまって、ちっとも人と会わないから。
こういう場所ときっかけがあれば、みんな出てくるし、こうやってお喋りできるからね~」
仮設住宅での暮らしはどんな感じなんですか?と聞くと、
「仮設は4畳半が2部屋と台所とトイレとお風呂。
うちはお嫁さんがいるから、私は自分のいる部屋から出ないようにしてんだ。
私なりに気を遣ってんだよ~(笑)。今日はこんな場所があって、ほんとによがっだー」
またこのおばあちゃんは、「私はまだ良い方なんですよ。
お嫁さんがいて車も運転してくれるから、病院や買い物にも行く事ができる。
でも旦那さんや家族を亡くしてしまった人は本当に大変なんです」と。
やはり、自分よりも大変な人がいて、自分はまだましなんだ、と言うのです。
岩手の人の忍耐強さと、他者を思いやる姿を、また目の当たりにしました。
隣の小学校仮設住宅の集会所では、忍者学校が開校。
忍者体操やゲームをして遊ぶ子供達は、昨年何度も遊びに来てくれて、すっかり顔なじみになっている子供達もいます。
忍者が到着するなり駆け寄って抱きついてきて、
彼らにとって楽しみであり励ましとなれる存在になってきているのかな、と嬉しく思いました。
ポップコーンを提供してくれたのは、静岡県浜松市の福祉団体『トータルケアセンター』。
その呼びかけで集まった陸前高田市・大船渡市の福祉作業所『すずらんとかたつむり』の方々がお手伝いしてくれました。
子供達は、学校の校庭に仮設受託が立ち並んでいるので、運動する場所、遊ぶ場所がないそうです。
室内の忍者教室で遊んでいた子供達が、「鬼ごっこしよう!」と外に飛び出すと、
子供達vs忍者で仮設住宅の敷地じゅうをかけまわる鬼ごっこに。
(室内にいた方、お騒がせして申し訳ありませんでした)
子供達の笑い声、時折寂しそうに繋ぐ手。「次はいつ来てくれるの?」。
その一つ一つに『また必ずここに来よう』という思いは強くなります。
帰り際自治会長の菅野さんがこんなことを言ってくれました。
「今度は何も持ってこなくていいです。ただ遊びに来てください!釣りに連れて行きますから!」
そんな嬉しいことを言われて、何も持って来ないわけにはいきません!
また準備して行きますから、広田のみなさん、それまで元気でいてください!
陸前高田・広田を後にする頃には、やんでいた雪も再び激しく降り出し、あっという間にあたりは銀世界に。
仮設住宅は寒いそうです。。。
震災から1年の3月11日に行われる岩手県の追悼式は、県内最大の被害を受けた陸前高田市で行われるそうです。
その日にはまたメディアも派手に取り上げてくれ、人々の注目や関心は高まるでしょう。
しかし、その後、加速度的に風化し忘れ去られていくであろう「被災地」。
陸前高田で見つかっていない方は未だ200人を越えるらしく、親族の方の『まだ追悼なんてできない』という声も。
瓦礫の山が聳え立つ被災地を見ると、本当の復興はまだ始まったばかりであることを知ります。
そして、そこには私達が出会った友人たちがいる。
私達は新たに継続的な支援をすると決意したのでした。