専門誌 月間カフェ&レストランにて オーナーマレが2年間連載(2008年8月終了)

カウンター椅子
心の交差店
2008年5月号の表紙

旭屋出版web site


私の学校KBC(2008年5月号掲載)


いろいろな訳ありで、夫と別れてしまった女性がキックバックカフェ(以下KBC)の常連になった。
実は、別れた夫も子どもと一緒にちょくちょくやって来る。
先日は、二人が肩をならべてカウンター座っていた。

自分の心との折り合いがつかず、安定剤を飲んだり、セラピーを受けたりしながら、なんとか自分を支えて来た妻だったが、残念ながら、二人が一緒に生活するのは困難になってしまった。
夫が子どもを引き取り、二人は離婚。
けれども、紆余曲折を経て、KBCにたどり着いた。

初めに来たのは彼女の方だった。
そして、前夫に情報を流した。
しばらくして、二人はKBCでちょくちょく顔を会わせる関係になった。
彼女のカウンセリングをしたとき、前夫が子どもと一緒にKBCに出入りするようになることが、お互いにとって長い目で見ると一番いい事だと助言した。

手前味噌だが、僕はKBCの経営者として、またカウンセラーとして、我々が提供でき得るものについて、それなりに自信がある。
KBCは、カフェであるが、同時にカウンセリングの場であり、人々の回復の場だ。
傷ついた人々の心が癒されたり、萎えてしまっていた心が起き上がることがなければ、KBCが存在している意味がない。
そしてそれは、KBCという環境の中で必ず起きることだと確信しているのだ。

彼女はほかの場所で心理療法をずいぶん長く続けていて、安定剤も長く続いていた。
僕は初めてのカウンセリングで、その場所への通院と服薬が、彼女の回復には役に立たず、なるべく早くに薬と通院をやめる方向に進みましょうと強く助言し励ました。
それ以上のものを、我々がここで提供できると確信していたからだ。

詳しいことは割愛するが、世に言う心理学に基づく心理療法は、僕が信ずるアプローチに反する。
薬や精神分析的な療法は、根本的な回復をもたらすことは少ない。
しかし僕はKBCで実際に「回復していく人々」の目撃者だ。だから彼女にも自信を持って助言することができた。

彼女は、僕が毎週水曜日の夜に主催しているイベント「HOUSE OF PRAISE」に定期的に顔を出すようになった。
それは、ちょっとしたモチベーションセミナー風のものとライブをドッキングしたようなイベントでゴスペルを歌い、僕がバイブルを題材に人生に役立つエッセンスを提供できるような講演を行う。
クライアントや、読者、また常連のお客様などで溢れる大反響イベントだ。

5月7日にはアメリカから有名アーティスがゲストで出演してくれることになっている(詳細はお問い合わせを)。

彼女はみるみる回復し、ほどなく薬をやめ、ついに長年通っていたセラピストへの通院もやめた。
最近、彼女はKBCの営業時間にヘルプに入るようになった。
KBCは社会復帰を目指す人々や、彼女のような回復されるべき人に、ともに労働することによる「回復の機会」を提供している。

KBCはサービス業であるので、特にサービスの原点「仕える」ことの意味に重きを置き、人間関係を構築していく「いろは」を学ぶ。
人の問題の殆どは「人間関係」の不健全によるものだが、サービス業は嫌でも人に接することが要求される。そこで一番大切なのは「態度」だ。
人間関係で負った傷の癒しのためには、人に接する態度を学習することができるサービス業は、最高の学びの場となり得る。

その彼女が、駅前で笑顔を振りまきながら、チラシ配りに参加した。
彼女がチラシ配りに参加したのは、彼女の心の状態が上向いて来た証拠だった。
僕はチラシ部隊に彼女の名前があるのを見て、非常に嬉しかった。
そのときの様子を彼女が書き送ってくれた。


――――――――――

チラシ配り。ひとりで駅前に立つ。
苦手分野で、不安とかありそうなものだけど全くおびえてなかった自分がいたよ。
緊張というか、身の引き締まる思いはがっしりあるけど自分の存在については、おびえたり迷ったりしていない。
午後は約束があったので、配ったのは2時間だけだったけど、たどたどしい日本語になりつつも喜びが溢れる時だった。

周りの皆の励ましも心強かった。
みんな今、それぞれの場所でそれぞれの場所を守ってる実感があった。
京都でも(2月末に新店舗オープン)仙川でも、
みんな一つになって仕えているんだな。
祈り心で支えてくれる人がたくさんいることを覚えて、パワーを感じた。

でもね、まずは自分を否定せずに立てるようになった、という所。
やっとスタートライン付近かな?
外に出て気づいたのは、自分がまだまだだってことです…。
お店の人間として、もっとKBCを理解して伝えたいし具体的に知識もつけなきゃいけないなぁって。

それから、KBC開店前のヘルプをさせてもらった時に思ったのは、
仕えることは、ただの一生懸命とは違うんだなーということ。
従う・仕える心は、今までやってきた「一生懸命な感じ」とは違った。
(あくまで、私の感じ方なんだけど)

一生懸命もいいと思うんだけど、私の場合必死に頑張っちゃって
「自分がど真ん中モード」になりがちだったから。
それって無意識のうちにさ、誰かのためやってる自分に満足してるんだよね。
しかもそれに気付きにくいって落とし穴がある。
従うといいながら、「私はこう思うのに」「私はこう思ったんだけど」と発想してないかなって心が探られた。
その場のリーダーに忠実に従えないのなら、何のヘルプになるだろうかと思った。
自分の心の態度を改めた。
無意識のうち、沸き上がる「偽善と高慢の芽」を注意深く見張っていないといけない。
それと同時に、従うことの喜びも教わった。
周りのみんなを心から尊敬して、信頼して、共に働くことがこんなに嬉しいなんて、知らなかった。

過去の私にとって、従うことは敗北と屈辱を意味していた。
ゆがんで固定化された負の遺産。
去年HOPに来はじめた頃、夜残ってたら「おらほ仙川」(地元の祭り)のミーティングをみんながしていたの。
それを見て、私、そわそわと逃げ出すように帰ったのを覚えてる。
帰りの電車で涙流してた。ふふふ。恥ずかしい過去。

「どうしてみんなは、あんな風に人と関われるの?!なんでわざわざ人と関わろうとするの?!理解できない」って思ってたの。
(今思い出すと笑えるー!ぎゃっはっは)

私は別の生き物のような気がして、寂しかったのを覚えてる。
そんな爆発的悲観女の私が、変えられていくのって奇跡だな。
たくさんのことを教わって、自分の足りなさに凹んだのも深い安心と喜びを得られたのも、みんな意味があるんだな。

KBCは私の学校です!

――――――――――

今日もKBCのチラシは、回復のための一枚であるかもしれない。

営業することが、経済的利益だけではなく、働く者、そして関わる者にとっての癒しと回復にもつながっていく。嬉しい限りだ。

これからも、KBCという学校への入学希望者が一人でも増えるように、ますます精進していきたいと心から思わされている。

(2008年5月号掲載)

このページのトップに戻る


■バックナンバー

2008年----------

8月号 町づくりカフェ
7月号 好意がカギだ
6月号 奇跡カフェ
5月号 私の学校KBC
4月号 医療関係者の癒しカフェ
3月号 安全カフェ
2月号 キッズバックカフェ
1月号 バラエティカフェ



2007年----------

12月号 奮い立つカフェ
11月号 大切すぎて入れないカフェ
10月号 おかえりカフェ
9月号 天国の前庭
8月号 ヘルシーカフェ
7月号 再生カフェ
6月号

思い出かふぇ

5月号 かけこみカフェ
4月号 マイホームカフェ
3月号 ノンアルコールカフェ
2月号 元気がでるカフェ
1月号 ゴスペルカフェ

2006年----------

12月号 人儲けカフェ
11月号 キックバックはめぐみカフェ
10月号 キックバックは変身カフェ
9月号 キックバックは出会いカフェ
8月号 クリエーターズカフェ
7月号 ママも子どももキックバック
6月号 キックバックは
閉店後も大歓迎
(連載スタート)



「心の交差店」TOPへ戻る

ホームに戻る