専門誌 月間カフェ&レストランにて オーナーマレが2年間連載(2008年8月終了)

カウンター椅子
心の交差店
2008年2月号の表紙

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キッズバックカフェ(2008年2月号掲載)


年に二回、キック・バック・カフェ(以下KBC)は、キッズ・バック・カフェになる。
その名の通り、キッズのためのカフェになるのだ。

KBCでは、毎年5月の子供の日と、12月のクリスマスに、子供のためのイベント「キッズ・フェスタ」を開催しているのだ。去る12月にも、キッズフェスタが開催されたばかりだ。
「三つ子の魂100までも」と言われるが、小さい頃に子供の心に蒔かれた種は、成人しても心に影響を与え続ける可能性がある。 

実際に、僕がカウンセリングという仕事を通して人に接する中で実感することは、相談に訪れる多くの人々の問題が、過去に家庭の中で蒔かれたものに起因するということが多いということだ。
小さい頃に、親からしかるべき愛情を受けられなかった場合、ティーンエイジャーになると、女性は自傷行為をする傾向が強く、男性は攻撃的になり他者を傷つける傾向が強くなる。これは臨床データが明らかにすることだ。

教育の第一義的な現場は家庭である。
しかしその家庭が崩壊している場合も少なくない。環境を選ぶことができない子供たちに、どんな環境を与えることができるのかを真剣に考えるのは大人である我々の責任だろう。

僕自身、フリースクールの代表であり、教育に関わる人間でもある。
だから、カフェでありながらも、教育の一旦を担うことができたら、そして小さい子供たちに、何か積極的な種を蒔くことができたら・・そんな思いから始められたイベント。それがキッズフェスタだ。おかげさまで参加募集をかけると、すぐに定員に達してしまいすぐに申し込みを打ち切らざるを得ないほどご好評を頂いている。
 
これには、KBCスタッフだけでなく、フリースクールの校長(前号で紹介したじゃんけん兄さん)を初め、僕が牧師をしている教会でキッズチャーチの担当をしているスタッフがボランティアで関わっている。その多くが、実際に仕事で幼児教育に関わっている人たちだ。

キッズフェスタのメインは、プロの俳優も出演する「劇」だ。
毎回、本番の五ヶ月ほど前から、シナリオの作成に入る。
シナリオ担当は、某テレビ局で情報番組の構成作家をやっていた女性だ。彼女はkBCで生涯のパートナーと出会い僕が挙式をした。

毎回、テーマは決まっている。それは「健全な自尊心を育む」ということだ。
ここで僕がいう自尊心とは「自分の価値をどのくらいに見積もっているか」という意味で、尊大で偉そうになることではない。人間の行動は「自分で自分を何者だと思っているか」というセルフイメージによって決定的な影響を受ける。
人間社会では、他人との比較の中で、自己卑下したり、劣等感を抱いてしまったりする人が多い。
そんな中で鬱になったり心療内科に通っている人がなんと多いことか。

しかし現実社会で生きるとは、嫌でも他人と比較されたり競争したりしなければいけない環境に放り出されるということでもある。そういう厳しい社会で強く生き抜いて行くための健全な自尊心の土台は、小さい頃に出来上がるものでもある。

ゆえに、常に我々が子供に与える影響は「積極的」なものでなければならないし、それが子供のセルフイメージ向上に役に立つものでなければならないと考えている。
そのコンセプトにそって、毎回劇のシナリオの案が練られ、何度も書き直されていく。

子供の日に上演される劇は、だいたい「大切な君」というテーマで書かれる。
クリスマスは、クリスマスという特別な国民的イベントを使って、愛することや、思いやりの大切さに照準を合わせたシナリオが書かれる。



昨年の12月に行われた劇では、母親に反抗し、人の物を奪うことが常習化しているルイという少年が、2000年前のイスラエルにタイムスリップしてしまうというところからドラマは始まる。
彼はそこで、ベツレヘムに向うヨセフとマリアに出会い、キリスト誕生の瞬間に立ちあうことになる・・・。
その経験は彼の心を根底から変えるほどの大きなインパクトを与える。
そして彼はそこから大切なメッセージを受け取り、再び現代に帰る。

冒険物仕立ての劇によって、本当のクリスマスプレゼントは、ただ「もらうもの」なのではなく、「与える心」なのだというテーマで演じられた。

上演後、舞台に進行役のミッギーというキャラクターが立ち、子供たちに「今日帰ったら、家でお父さんやお母さんに何かいいことをして上げよう」と呼びかけた。

「はーい」

純粋にそう反応する子供たち。

「何をしてあげる?」

「お掃除」「お風呂洗ってあげる」「お皿洗う」など、子供たちから様々な反応の声があがった。子供たちの素直さに、大人である我々は癒される。

終演後に寄せられた母親たちの声も、我々に与えられる報いでありビタミンだ。

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私は、第1ステージに参加しました。
小6の娘と同級生の男の子と、同級生の女の子親子と5人でいきました。
小6にして小ギャル道まっしぐらの女の子は、フェスタに参加する前、「今年は、家 
はクリスマスないんだ?。プレゼントもないんだー!!」と。
母親は「当たり前 でしょ!」と言ってましたが、フェスタの帰りには「いいクリスマス体験したね。ク リスマスはプレゼントもらうんじゃなくて、人に優しい気持ちをあげるんだね。」と 母子で話していました。
お母さんは、こっそり「実は、娘の問題で夫を責めまっくっ て・・あなたが甘やかしすぎたから・・絶対赦さないからね!!」とだんなさんをし ょげさせてしまったこと教えてくれました。
「きょう謝るか・・」と笑っていました。

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4歳と1歳の二児を持つママ友と一緒に行きました。
4歳の子に関しては、最初は劇の意味が分からないのではと思ったけど、
反応している様子を見てちゃんと分かるのねーと思いがけない様子でした。
見に来た他の親たちはどういうふうに思ったかなあ。子どもがいい反応なのは間違い ないので、親がどのように受け止めたかなあって。
「いいことをしてあげたいと思う愛の心が欲しい人?」の問いかけに、迷いなく手を挙 
げていた子どもの思いを上手く引き出し、高められるか、それは親の手にかかってい
るなあと思わされました。親子で学べるいい機会。もっと多くの人に見てもらいたいです。
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我々ができることはとても小さい。KBCはあくまでもカフェである。
しかし地域社会に開かれたカフェでありたいと願っているし、カフェであるからこそできることを通して社会に貢献したいと願っている。

(2008年2月号掲載)

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■バックナンバー

2008年----------

8月号 町づくりカフェ
7月号 好意がカギだ
6月号 奇跡カフェ
5月号 私の学校KBC
4月号 医療関係者の癒しカフェ
3月号 安全カフェ
2月号 キッズバックカフェ
1月号 バラエティカフェ



2007年----------

12月号 奮い立つカフェ
11月号 大切すぎて入れないカフェ
10月号 おかえりカフェ
9月号 天国の前庭
8月号 ヘルシーカフェ
7月号 再生カフェ
6月号

思い出かふぇ

5月号 かけこみカフェ
4月号 マイホームカフェ
3月号 ノンアルコールカフェ
2月号 元気がでるカフェ
1月号 ゴスペルカフェ

2006年----------

12月号 人儲けカフェ
11月号 キックバックはめぐみカフェ
10月号 キックバックは変身カフェ
9月号 キックバックは出会いカフェ
8月号 クリエーターズカフェ
7月号 ママも子どももキックバック
6月号 キックバックは
閉店後も大歓迎
(連載スタート)



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