専門誌 月間カフェ&レストランにて オーナーマレが2年間連載(2008年8月終了)

カウンター椅子
心の交差店
2007年2月号の表紙

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元気がでるカフェ (2007年2月号掲載)


ある日のランチタイム。
「今日は、いつもよりお客さんがすくなくて、のんびり、ほんわかムードの日だな〜」 
昼間の女性ホールスタッフで、お客様からも人気の高いSは、そんなことを感じながら、接客をしていた。

すると、一人の女性客が来店。
「いらっしゃいませ!」
彼女は、すかさず満面の笑みで、その方を迎えた。
親しみを込めて、ニコリと返してきた。Sは嬉しさの中で、しかし不思議に思った。
「常連さんじゃないのに、この親しみを込めたリアクションは一体なんだろう・・・」
どこかで会ったことがある人かな?
それとも私だけが知らなくて、実はハードな常連???
そしてこう聞いてみた。
「この店を何でお知りになったんですか?」
すると、なんとこの女性、カフェ&レストランの「心の交差点」の読者だと言うのだ!
「え?、そうなんですか?」
「ええ、でも、ここを探して来たんじゃないんですよ。車で移動中に、道に迷ってしまって、本当に偶然にKBCを見つけたんです」
「そうなんですか〜!!すごい偶然ですね〜」

だけど、カフェ&レストランはカフェの専門誌。もしかしたら・・・
「あの、もしかしたら、同業者ですか?」
「いえいえ、カフェをやってるわけじゃないですよ。○○です」
なんと、彼女は大手コーミーメーカーの社員だったのです。KBCでも、取引をさせてもらっています。
やっぱりカフェ業界の人は「心の交差点」読んでいるんですね。

「確かこのお店はコンセプトが面白いんですよね」
「そうなんですよ。オーナーがカウンセラーなので、お店も売り上げ中心というのではなく、お客さんの心に一番関心があるんですよ」
帰り際、彼女はちょっとはにかんでこう言った。
「ありがとうございました。とてもリラックスできました。本当は私、少し落ち込んでいたんです。だけど、ここにきて暖かくもてなされて心が癒されました。あの・・また来てもいいですか?」
「もちろんです!またいつでも来てください。お待ちしています!」
別のスタッフも笑顔でこう声をかけた。
「道に迷ってよかったじゃないですか!」
すると彼女も、「ホントにそうですね」と笑いながら帰って行った。


この前日、パーカッションユニットのライブがあった。
KBCは、ライブハウスとしての営業にも力を入れている。ほとんどのライブは、チャージ制だから、チケッド代金を支払わなければ入場できない。

常連さんは、毎月配付されるイベントスケジュールをよくチェックして、夜に来店する際は、ライブイベントのない日か、自分のお目当てのイベントのときにあわせてやってくる。
ところがこの日、ライブ時の分厚い防音ドアが閉じらてしまった後に、ヘビーリピーターの女性が、ライブがあるとは知らずにやってきたのだ。
「えええ〜。今日ライブだったんだ〜知らなかった・・・豆腐あんかけプレート食べにきたのに〜」
彼女はそう言って、残念そうに帰ろうとした。

「ちょっとまって」
その場にたまたま居合わせたマネージャーは、すかさずブッキング担当にKBCの招待枠で彼女をライブに入れられないかを確認した。
そして、既にライブは始まっていたが、彼女には、カウンター席でライブと食事を楽しんでもらうことにした。

ライブ終了後、彼は彼女に言った。
「なんか無理矢理、ライブを聞いてもらう格好になっちゃって、ごめんね」
すると彼女は笑顔でこう答えた。
「とんでもないです。実は今日、すごく落ち込んでて、でもKBCに来て、みんなとしゃべってたら元気になりました」
「ああ、そうだったんだ。それはよかった」
そして最後は、「キックバックがあってほんとによかった!」
と、彼女はすっかり元気になって店を後にした。

いつも、姉妹で来てくれるママたちがいる。
子供が同い年なので、友達をつれてきたり旦那さんと来たりしてくれている。
つい先日、久しぶりに来店してくれた彼女たちを見て、シングルマザーのスタッフUが、笑顔で迎えた。
「こんにちは、お元気でしたか?」
KBCでは、時間がゆるす限り、お客様と親しく話しこむのは日常だ。
彼女も子どもを育てながら仕事をしている身。そんなこともあり、子育て中のママたちのよき相談相手でもある。

「実は、子供も大きくなったし、そろそろ会社に戻るので、保育園に預けようと思ってるんですよ」
少し不安そうにそう言うママに、スタッフUは、
「泣くのは初めだけですよ〜大丈夫大丈夫」と言って励ました。
するとママは言う。
「Uさんが本当に楽しそうに働いているのをみて一度お話したかったんです。家で専業主婦でも、きっと、いきいきしてるんでしょうね・・・」
「でも、シングルマザーですから、専業主婦やってたら、生きていけないんですけどね〜(笑)」
「それもそうなんでしょうけど、生活のためにやってるように見えないんですよ、なんででしょう・・・ここに来るとみんながいきいきしているので力をもらえるんです」

こういう言葉の数々が、僕たちの元気の元だ。
心が塞いでしまっていたり、落ち込んでいるとき、行くべき場所を知っている人はとても幸せだと思う。
果たしてどれだけの人が、そのような場所を、生活の一部にとりこんでいるだろう。

KBCでは、人の心に関心を寄せ、ときには決まりをやぶってでも、必要に目を留める姿勢を大切にしている。
けれども、僕たちが日常的に出来ること言えば、ごく当たり前な会話をすることだけだろう。しかしネットや携帯の日常化によって、ごくごく当たり前な、生身の人どうしの普通の会話こそ、最も急速に失われつつまる財産なのかもしれない。

僕たちは、その当り前なものを、大切に守りたいと願っている。


(2007年2月号掲載)

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■バックナンバー

2008年----------

8月号 町づくりカフェ
7月号 好意がカギだ
6月号 奇跡カフェ
5月号 私の学校KBC
4月号 医療関係者の癒しカフェ
3月号 安全カフェ
2月号 キッズバックカフェ
1月号 バラエティカフェ



2007年----------

12月号 奮い立つカフェ
11月号 大切すぎて入れないカフェ
10月号 おかえりカフェ
9月号 天国の前庭
8月号 ヘルシーカフェ
7月号 再生カフェ
6月号

思い出かふぇ

5月号 かけこみカフェ
4月号 マイホームカフェ
3月号 ノンアルコールカフェ
2月号 元気がでるカフェ
1月号 ゴスペルカフェ

2006年----------

12月号 人儲けカフェ
11月号 キックバックはめぐみカフェ
10月号 キックバックは変身カフェ
9月号 キックバックは出会いカフェ
8月号 クリエーターズカフェ
7月号 ママも子どももキックバック
6月号 キックバックは
閉店後も大歓迎
(連載スタート)



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