専門誌 月間カフェ&レストランにて オーナーマレが2年間連載(2008年8月終了)

カウンター椅子
心の交差店

2006年9月号の表紙

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キックバックは出会いカフェ (2006年9月号掲載)


つい先日の日曜日、僕はある男性とVIP席(ホールより1m高く全体が見渡せる場所)から、イベントのために集まっているお客さんたちを眺めながら話をしていた。
「ほら、あそこに座ってる彼女も読者なんだよ。それと、あっちの二人組もそう。
今日のホールのスタッフも、もともとは読者で、気づいてみたら、ここで働いているって感じなんだな・・」

毎週日曜日に行なわれるイベント「サンデーナイト・サービス」。
入場無料で音楽やゲームが楽しめて、テーマは「明日からもがんばろう」。
僕も自分のバンドで演奏するし、ジャズのセッションや、その他の催しものもある。
スタッフも、ダンサーじゃないのに、ステージ上で踊ったりしながら、体をはってお客様に元気を提供する。KBCの人気イベントのひとつだ。

このイベントには、読者や常連客が多い。
読者というのは、僕の本を読んだことがきっかけで、KBCを知ったという人のことだ。
おかげさまで本も好評なので、恋愛や結婚で悩む男女が、僕の本を読み、それからカウンセリングにやってきて、結果としてKBCの常連さんになってくれる、というパターンがとても多い。
あるいは、本を読んで「ここにくれば著者に会えるかも」という期待をもってやってきてくれる人たちだ。
日曜日の夜のイベントは、そういう人たちが多く訪れるものになっている。
スタッフも、お客さん同士をどんどん紹介しあって、みんなが知り合いになっていく。
まさに「みんなで広げよう友達の輪」という感じの夜なのだ。

そんなサンデーナイトに、その男性は初めてやってきた。
婚約者がマリッジブルーになったことがきっかけで、しばらく二人でカウンセリングに来ていた。けれども、残念なことに最終的に二人は別れを選択した。
傷心の彼に、僕ができることと言ったら、苦痛から目をそらさせて、未来の希望に目を向けさせるお手伝いをすることだ。
だから僕は彼に、必ずいい出会いがあることを確信させたかった。
そんなわけで、彼に日曜日に来るように勧めたのだ。

どうしてかと言えば、はからずもキックバックは出会いカフェとなっているからだ。
と言っても、怪しげな男女が、本能とホルモンの欲求を満足させるためだけに集まっているような場所ではない。
極めて健全。
だって通常営業しているカフェだから。
でもそこに、結婚や恋愛で悩んでいたり、いい結婚をしたいと思っている人たちが、たくさん出入りするというわけだ。

もともとそういう場所にしようと計画していたわけではなかったけれども、
僕の立場や、僕たち夫婦の仕事柄、結果的にそうなっている。
考えてみれば自然なことだ。
男女が出会う場所と言えば、よくも悪くも出会い系とか、合コンとか、あるいは、結婚を真剣に考えている場合は会員制の紹介所か・・いろいろな場所があるだろうけれども、相手を獲得するために集まるところ、どうしてもギラギラしたものや、欲望の臭いがつきまとう。

けれどもKBCは、あえて言うなら、異業種交流の場とでも言おうか、健全な社交場だ。
あからさまにそれを求めていない場所だからこそ、人として知り合える。
そして、知らず知らずの内に個人的な出会いへと発展していく。
 


昼間の女性ホールスタッフの一人も、ここで運命の相手と出会った。
夫は郵便屋さんだ。
毎日キックバックに郵便物を届けているうちに、スタッフと仲良くなり、仕事時間外にもコーヒーを飲みに来るようになった。そしてある日、彼女を見かけたのだ。
ここにちょくちょく出入りしていた彼女に馳せる思いは大きくなる一方で、ついに彼が僕にアプローチしてきてこう言う。
「実は、○○さんのことが好きで・・・」
僕と妻はマッチンクメーカーだ。二人の嗅覚が一致して、「この二人きっとお似合いだ」と思ったカップルは、僕たち夫婦で間を取り持って、みな結婚にまで至った。今のところ100%の確率。
そういう面で僕たちの立場を信頼してくれている人は、むやみに本人に告白して玉砕する前に、僕か妻に気持を打ち明ける。
「なんとか、よろしくお願いします」
というわけだ。
個人で相手紹介ビジネスをしたら?と助言してくれる人もいる(笑)

そういうわけで、僕はこの夜、傷心の彼にも、もっといい出会いがあることを信じてほしかったし、それを期待しながら、明るい笑顔でKBCに足を運ぶようになることを期待していた。

あたりを見渡しながら話をしていると、そこにお掃除屋さんを営んでいる男性がやってきた。
彼もここで知り合い、僕たちがカウンセリングをして、この場所で結婚式をあげた。
KBCはブライダルの会場にもなる。
「彼も、ここで出会って、結婚式もここで挙げたんだよ」僕が彼を紹介すると彼は「そうなんですか」と驚いていた。
すると本人、「え、あ、僕ですか?そう、ここでの式は最高だったよ」と笑顔を向けてくれた。

「彼、今傷心なんだよ」僕はこういうことを気軽にどんどん言うことにしている。
もちろん、詳しい事情については言わないけれども、こっちがそうだから、傷ついている人も、「あ、こういうことを言っていいんだ」と安心できる。
悩んでいる人は、とにかく誰かと話をするということが大切だ。
僕はカウンセリング以外にも、訪れる人々が気軽に自分の気持を打ち明けたりすることができるお膳立てをして回る。 あとは本人が言いたければ言うだろう。

お掃除屋さんは続けた。
「そうなんだ。でも、別れたってことは、もっといい人がいるってことですよ。ここはいい出会いがあるよ。まずは男を磨くことだ」
「はあ、そうですね。男を研くですね・・・」と彼。

その後、僕は前述した郵便屋さんとその妻を紹介した。年齢も近い二人の出会いから結婚までの経験を聞くのは、彼にとって有益に違いない。そう思って紹介したのだ。
パティオの席で、彼らは長い間話をしていた。この夫婦はカウンセリングの専門家ではないが、人と話すことをとても楽しみにしてくれている。
そんな気持が伝わるのだろう。彼らと話す人々も彼らを好きになってくれる。
彼らは「また日曜日の夜に会いましょう」と約束して帰っていった。

出会いの場にもいろいろあるだろうが、KBCはおそらく最も健全な出会いの場所だと思う。

そして、今日も僕は人々を紹介してまわる。

(2006年9月号掲載)

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■バックナンバー

2008年----------

8月号 町づくりカフェ
7月号 好意がカギだ
6月号 奇跡カフェ
5月号 私の学校KBC
4月号 医療関係者の癒しカフェ
3月号 安全カフェ
2月号 キッズバックカフェ
1月号 バラエティカフェ



2007年----------

12月号 奮い立つカフェ
11月号 大切すぎて入れないカフェ
10月号 おかえりカフェ
9月号 天国の前庭
8月号 ヘルシーカフェ
7月号 再生カフェ
6月号

思い出かふぇ

5月号 かけこみカフェ
4月号 マイホームカフェ
3月号 ノンアルコールカフェ
2月号 元気がでるカフェ
1月号 ゴスペルカフェ

2006年----------

12月号 人儲けカフェ
11月号 キックバックはめぐみカフェ
10月号 キックバックは変身カフェ
9月号 キックバックは出会いカフェ
8月号 クリエーターズカフェ
7月号 ママも子どももキックバック
6月号 キックバックは
閉店後も大歓迎
(連載スタート)



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